不動産の遺産分割

不動産の遺産分割(Q&A)

Q:
『先日、父が亡くなりました。相続人は長男の私、弟、妹の3人です。父の遺産のほとんどは不動産なので、どうやって遺産分けをすべきか悩んでいるのですが、どのように考えたらよいでしょうか?』

A:
 不動産は預貯金のように均等に分けにくいため、遺産の大半を不動産が占め、預貯金が少ないということは、遺産分けの際に相続人の間で揉めやすい要因になり得ます。

 不動産の分け方は相続人全員が合意すればどのような方法でも構いませんが、専門家として一番お勧めできないのは「共有」にすることです。例えば、不動産を相続人三人の名義に変えた場合、そのうちの一人が亡くなると、亡くなった人の相続人が持分を相続することになり、それが繰り返されることで、不動産の共有者が増えていき、いざ処分したいと思ったときに全員から協力を得るのに困難を伴うことになるからです。

 そこで、不動産を残す必要がなく、売却できる見込みがあるのであれば、例えば、長男の名義に一旦変えて、長男の名義で不動産を売却し、その売却代金を弟、妹と均等に分けるという方法が使えます。(これを「換価分割」といいます)しかし、長男が住むために不動産を残しておきたい場合や、売却できる見込みが低い場合もあるかと思います。そういった場合に相続人の間で不公平が生じないようにするためには、例えば、長男の名義にする代わりにその不動産の価値に見合う現金(代償金)を長男自身の財産から弟と妹に支払うという方法があります。(これを「代償分割」といいます)ただし、これはそもそも長男が他の相続人に渡せるだけの十分な現金を持っていないとできないことです。

 したがって、親の遺産のほとんどが不動産になることがあらかじめわかっている場合は、代償分割をするための代償金を貯めて用意しておいたり、また、換価分割の可能性が高い場合はその不動産がどれぐらいの金額で売却できそうか、売却するのに何か問題がないかなど、事前に探っておくことが望ましいです。

 このように、遺産が均等に分けにくいことを見越し、親の生前からできる対策をとって備えておくことが後々の相続争いを避けるためのポイントになります。
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