相続登記の義務化(その1)

相続登記が義務化されるって本当?(1/2)

Q:
『相続に関する法律が変わろうとしていて、相続登記が義務化されるようなことも聞きました。私たちの生活にどのような影響があるのか知りたいです。(その1)』

A:

 2021年3月5日、民法や不動産登記法の改正案などが閣議決定されました。改正案の内容で大きなものとしては、これまでは任意であった相続と住所変更の登記申請の義務化です。「相続登記」は不動産の名義人が亡くなった場合にその相続人へ名義を変更する手続きで、「住所変更登記」は不動産の名義人が引っ越しなどで住民票を移した場合にそれに伴って登記上の住所も変更するという手続きです。(結婚で名義人の氏名が変わったり、名義人である法人が本社の変更をした場合も同様の扱いです)

 申請期限としては、相続は土地の取得を知ってから3年以内、住所変更は2年以内に申請しなければならないものとし、違反すれば相続は10万円以下、住所変更は5万円以下の過料を設けるとしています。ただし、今回の法律の施行は2023年以降を予定しており、あくまで施行後に発生した相続が対象となるため、それ以前の相続まで遡って法律違反とされることはないことにご留意ください。

 このような改正に至る背景としては、やはり「所有者不明土地の社会問題化」です。所有者不明土地とは、不動産の登記簿を見ても誰が持っているか分からない土地で、公共事業や災害からの復旧、民間の土地取引の妨げとなっています。日本では九州ほどの面積の土地が所有者不明土地になっているというニュースが過去にも流れ、驚いた方も多いと思います。そして、その所有者が分からない理由として相続登記の不備が約6割、登記上の住所を変更していない例が約3割を占めるというデータがあるため、適正な登記を促すことでこの問題を少しでも解消しようという動きが出てきています。

 ただし、これまで相続登記やその周辺の手続きにおいては制度的に不便なところがあり進んでいなかったという現状もあるため、義務化をするだけでなく、これらの手続きを少しでも進めやすくする制度の創設も予定されています。次回はその概要についてお話をさせていただきます。
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