相続人のない財産の管理

相続人のない財産の管理はどうする?

Q:
『隣の家が老朽化しています。最近は災害が多いですし、このまま放っておくと倒壊の危険があると思うので、できれば取り壊してもらいたいです。ただ、家の所有者は亡くなっており、相続人もおらず管理する人がいないようです。どうすればよいのでしょうか?』

A:
 相続人のない財産を管理・処分してもらいたい場合には、家庭裁判所に「相続財産管理人」という、相続財産を管理するための第三者(弁護士や司法書士などの専門家がなる場合が多いです)を選任してもらうという方法があります。この申立てをするためには、相談者が相続財産についての「法律上の利害関係」を有している必要がありますが、家が倒壊して損害を受けるおそれのある場合には、隣地所有者としてはその予防を請求する権利があるため、原則として利害関係が認められます。

 相続財産管理人を選任するための申立ての手続きは、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、必要書類一式を揃えて提出する必要があります。必要書類は戸籍謄本や相続財産がわかる資料、利害関係を証明する資料などになりますが、個別のケースによって求められるものが異なりますので、詳しくは管轄の裁判所にご相談ください。また、申立人には、相続財産管理人が選任されてからの事務費用などに充当するため、相当額を「予納金」として裁判所に納付させられることが一般的です。予納金の額はケースにより異なりますが、被相続人の相続財産のうち預金や現金が十分にある場合を除いて、数十万円になることが多いです。

 さて、相続財産管理人が選任されると、相続財産の精算に向けて、法律で決められた手順と期間に添って様々な事務が行われます。よって、最終的に家の処分をしてもらうまでには最低でも1年程度はかかることに注意が必要です。

 このように、相続人のない空き家でも一定の手続きを経て処分できる可能性が残されていますが、手続きの複雑さや費用の負担を考慮に入れ、専門家に相談、依頼することも検討しながら総合的に判断するのが現実的であると考えます。
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