SDGsコラム(3)

SDGsコラム(3)新たな事業機会の創出~資金調達と取引拡大へ~

「中小企業がSDGsに取り組むメリット」

前回は「①企業イメージの向上」についてお伝えしました。
今回は、「②新たな事業機会の創出」について、大企業がSDGsを積極的に推進している理由を交えて、
(1)資金
(2)取引先
という2つの側面からお伝えしたいと思います。

 まず、(1)資金については、「ESG投資」というキーワードがあります。ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字をとった略語のことです。
いま、投資家が投資する企業を判断する際、決算書に現れる数字だけを見て決めるのではなく、ESGという視点に配慮して事業を行っている企業に積極的に投資しようという動きが活発化しています。実際、既に世界全体の投資総額の4分の1以上がこのESGを考慮したものになっているというデータもあり、金額に換算すると2700兆円を超えます。

 ビジネス環境の変化が激しい現代において、「ESGに真剣に取り組んでいるか」(言い換えると、『ただ自社の利益だけを追い求めるのではなく、しっかりとした企業規律の基盤の下、環境と社会にも配慮した事業を行っているか』)が企業の存続・持続可能性にとって重要な要素であると、長期的な視点を持った投資家が考えているということの表れだと思います。

 このESG投資の拡大の影響が大きいことは、既に日本でも多くの大企業・上場企業がSDGsを積極的に導入・推進することで、自社におけるESG指標の評価を高め、資金調達に生かしていることからも明らかです。中小企業にとっても今後、ESG投資を見据えたSDGsの推進が自社の事業資金を調達するための効果的な戦略の一つになると考えられます。

 また、(2)取引先という側面もあります。2013年に起こった「ラナプラザの悲劇」という世界的に有名な事件が一つの大きな契機となり、「企業は商品やサービスの提供において、自社の直接的な顧客にのみ責任があるのではなく、サプライチェーン全体の工程において環境への負荷や労働環境などにも責任を持たなければいけない」と考えられるようになりました。
 グローバル化の進展する現代において、この考え方は今後ますます広がっていくと考えられることから、大企業や上場企業は取引先の選定にはより慎重にならざるを得ません。そのため、「SDGsを掲げて環境や労働環境に配慮した事業活動を積極的に行っている企業」は安心できる取引先とみなされ、直接的、間接的な取引が広がっていく可能性が十分にあるでしょう。

 実際に中小企業でSDGsを積極的に推進し、国から評価され、メディアに大きく取り上げられたことで、大企業をはじめ新規顧客を1年間だけで数十社獲得した企業や、国連やJICA、アメリカ大使館といった普段はまず接することのない相手からのアプローチがあり、従来では想像できない次元で事業が展開している企業もあります。

想像を超えた事業展開の機会をつかむ。
これを世界規模で行い得る可能性を秘めているのが、SDGsなのです。


※このコラムは、北近畿経済新聞にて連載しております。

 
【主な参考文献】

・ESG投資の世界全体に占める割合について

https://sustainablejapan.jp/2019/04/02/gsir-gsia-2018/38613
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